この章の「5.どうやって買ってもらうか?」はマーケティング・ミックスと呼ばれています。
マーケティング・ミックスというのは様々なマーケティング戦術の手法を取りまとめたものを表しており、「直接、消費者の目に触れるもの」になっています。
そのため、消費者のイメージはマーケティング・ミックスを通して形成されると言えます。
この中で、最も普及しているのが4Pと呼ばれている考え方です。
4Pとは、Product(製品・商品)、Price(価格)、Place(流通チャネル)、Promotion (販促)の頭文字の「4つのP」からきているネーミングです。
この4Pは「売り手の視点」から見たモノですが、ついになる「買い手の視点」から見たモノが4Cになり、図1のように対比されます。
図1:4Pと4C
4P/4Cの4つの項目を通じて、基本的な考えは「買い手の視点」の4Cから
マーケティング・ミックスを考え、4Pを実現するという流れになります。
また、4P/4Cには手順があり、
手順1:Costomer solution(顧客の問題解決) ⇒ Product(製品・商品)
手順2:Costomer cost(顧客コスト) ⇒ Price(価格)
手順3:Convenience(利便性) ⇒ Place(流通チャネル)
手順4:Communication(コミュニケーション) ⇒ Promotion (販促)
———の順に考えていきます。
さらに4Cを考えるには、
●差別化・・・「B.自分自身(自社)について考えよう」
●ブランド・・・「J.選ばれる理由を考えよう」
●ポジショニング・・・「K.お客様にどう思ってもらうかを考えよう」
———を念頭におき、顧客の視点で検討しましょう。
最初に考えるのは、手順1の「商品・製品」⇔「顧客の問題解決」についてであり(図2参照)、この目的は「顧客に提供するモノを決める」ということです。
顧客視点で考えるには、4Cの「顧客の問題解決」⇒4Pの「商品・製品」の順で、4Cから始めることが大切です。
図2:プロダクトとカスタマーソリューション
「I.本当の売り物を考えよう」の節で、「売れるしくみ」でいう「なに?」とは商品・サービスのことではなく、消費者がその商品、サービスを買う根本的な価値のことであり、「ベネフィット(想い※1と一体)」のことであると説明しました。
この節では、いよいよ「販売する商品・サービスを決める」段階になります。
商品を決めるわけですが、基本的に「売れる商品を創る(仕入れる)」ことができれば、宣伝しなくても売れます。
また、顧客からすれば、最低でも自分が支払う価格と同等か、それ以上の価値を感じなければ商品を購入することはありません。
その為、
価値 ≧ 価格
———の式が成り立ちます。
この式は顧客満足と直結するため、最優先で考える項目です。
価値=価格ならば、購入する可能性はあるが満足していないという状態であり、価値が大幅に価格を上回れば満足度は高くなります。
この「価値が価格を上回る商品」は「H.どんな人に買ってもらうか決めよう」で選定したターゲットに、「I.本当の売り物を考えよう」で説明した「ベネフィットを感じてもらえる商品を創るか、仕入れる」という、一貫した顧客視点で考えることで実現します。
ここで少し、商品の考え方について整理してみましょう。
図3は商品の構成を表したもので、商品は図中①~➂の3層になっています。
まず、①の「本当の売り物」ですが、これは顧客がお金を払う対象であるベネフィットになります。
ベネフィットは顧客の想い・感じ方になるため、「形ある、通常の意味で言われる商品」とは違い、顧客の頭の中にある目に見えないものです。
顧客のベネフィットを理解し、このベネフィットを提供できる「形ある通常の意味での商品」を創るか、仕入れる必要があります。
次に②の「商品本体」ですが、これは「形ある通常の意味での商品」です。
これを考える対象としては、スペックや機能、品質、デザインなど、直接、商品を構成している内容が該当します。
➂の「商品の外郭」はネーミングやパッケージなどが該当し、②の商品本体の特性と顧客のイメージに合致した内容を考えることです。
この①~➂で「商品」は成り立っており、商品の創造・仕入れは、この「売れるしくみ」のここまでのステップ(A~Kの各節)を全て踏襲する必要があり、それが顧客視点になります。
図3:商品の構成
①マーケティング・ミックスというのは各種マーケティング戦術の手法の集合または総体を表しています。
②4P/4Cの4つの項目を通じて、基本的な考えは「買い手の視点」の4Cからマーケティング・ミックスを考え、4Pを実現するという流れになります。
➂4Cを考えるには、差別化、ブランド、ポジショニングを念頭に置いて考えてください。
④顧客からすれば、最低でも自分が支払う価格と同等か、それ以上の価値を感じなければ商品を購入することはないため、「価値 ≧ 価格」の式が成り立ち、最優先で考える項目になります。
⑤商品は、本当の売り物(ベネフィット)、商品本体、商品の外郭、の3つから成り立っています。 |