3.「誰に」買ってもらうのか?

H.どんな人に買ってもらうか決めよう

●ターゲティング

クレジットカードでの買い物

ターゲティング


ターゲティングとは、セグメンテーションにより、いくつかに分類されたセグメントから、自社に最もふさわしいセグメントを選ぶことです。

 

 

例えば、図1はターゲティングを図示したものですが、図の①をセグメンテーションすることで、図の②のようにA、B、C、Dの4つのセグメントに分けています。

図1:ターゲティング

ターゲティング

図1の②では赤色のDを選んでおり、この選ぶ行為がターゲティングです。

 

 

なぜ、ターゲティングが必要かというと、ターゲットを絞ることで訴求も絞ることができるため、消費者に響くメッセージが発しやすくなり、効率も高めることができるからです。

 

 

例えば、全員に対して「皆さん」と呼びかけると多くの人は自分のことだと思いませんが、「〇〇さん」と呼びかければ、「〇〇さん」は振り向くはずです。

 

 

また、自社の商圏内全てに「バリアフリーリフォーム」のチラシを配布しても、若い単身者や若い夫婦だけの家庭では見向きもされません。

 

 

 

バリアフリーリフォームについて、全世帯を対象にすれば、機能やスペック、価格だけのチラシ内容になり、結果として誰にも響きませんが、バリアフリーリフォームが必要な年代を考え、「実際の生活の困りごと」を記載した方が反応も高まり、そういった方が多く住まれている地域に集中的に配布した方が効率も高まります。

 

 

こういったことから、ターゲットを絞るターゲティングが必要になってくるのです。

 

 

このターゲティングですが、選ぶ基準として、次の2つが挙げられます。 

 

①適正なセグメントを選ぶ

 

②自社に適したセグメントを選ぶ

  

①の「適正なセグメントを選ぶ」にある「適正」とは、

 

・セグメントの規模

 

・今後の成長性

 

・購買可能性があること

 

・効率的であること

 

・シナジー効果があること

 

・アフターサービスに支障がないこと

 

・競合の参入障壁の高さと撤退障壁の低さ etc

 

———などになります。

 

 

また、②の「自社に適したセグメントを選ぶ」にある「適した」とは、

 

・自社の提供する商品やサービスの独自性

 

・競合上有利であること

 

・顧客と市場についての理解 etc

 

———などになります。

 

 

また、ターゲティングによって選択したセグメントのことを標的市場(ターゲット)といいます。

 

 

図1で言えば、②のDが標的市場になります。

 

 

この標的市場が、自社の資源を投入する対象となり、逆に言えば標的市場以外には一切、お金などを掛けないということです。

→図1の②ならば、Dに集中的にお金を掛け、A、B、Cには全くお金を掛けないということ。

 

 

併せて、意識すべきはDの顧客であり、A、B、Cの消費者からはどのように思われても構わないということになります。

主要ターゲット


主要ターゲットとは、標的市場の中で自社の商品・サービスを購入する必然性の高い消費者グループのことで、持っている資源をさらに集中投下する対象のことです。

 

 

この主要ターゲットへの取り組みを例示すると、

 

●標的市場・・・小売店が商圏内の全数(顧客でないお宅含む)にチラシを投函する

 

●主要ターゲット・・・保有名簿からDMを送る etc

 

———となります。

 

 

主要ターゲットを図示すると、図2の丸(オレンジ)になります。

図2:主要ターゲット

主要ターゲット

セグメント・ワン


セグメント・ワンとは、主要ターゲットをさらに絞り込み、具体的な一人の消費者にまで落とし込んだものを言います。

 

 

ここまで「セグメンテーション → ターゲティング(標的市場:ターゲット) → 主要ターゲット」という絞り込みを説明しました。

 

 

市場の細分化を繰り返していくと最終的には図3のように「一人」の消費者にたどり着きます。

 

図3:セグメント・ワン

セグメントワン

 

この一人の具体的消費者像を設定したのがセグメント・ワンです。

 

 

セグメント・ワンを設定する意味は、一人の消費者に具体的な呼びかけ(情報提供)を行うことにあり、セグメント・ワンを意識することで提供する情報にブレが無くなります。

 

 

セグメンテーションされていない、全ての人に「皆さん・・・」と呼びかけるより、ターゲティングされた「こういった方に・・・」という呼びかけが効果的ですし、「こういった方に・・・」というよりも、「〇〇さんに・・・」という呼びかけの方がさらに効果があるからです。

 

 

このセグメント・ワンに絞り込むには、次のような項目を考えます。

 

●名前、年齢、性別、住所、住居種類、家族構成、ペット

 

●職業、勤続年数、役職、通勤時間、年収、貯蓄額

 

●生活パターン(平日・土日祝の一日の生活)

 

●情報の収集源(インターネット・SNS・新聞・雑誌・テレビetc)

 

●パソコン等のITスキル

 

●趣味、価値観、好きなこと、興味のあること

 

●その他

 

上記の項目を考え、基本的なデータが設定できたら、この消費者の生活をさらにイメージして肉付けしていくことが必要になります。

 

 

こうして出来あがった一つの人格に対し、心に届くメッセージを考え、訴求することで消費者との関係作りを行っていきます。

 

 

ターゲティングからセグメント・ワンの設定まで、数値で表せたり、把握できるものは数値を活用してください。

 

 

メッセージについては「P.どんなメッセージを送るかを考えよう」で記載しています。

ここがポイント

ターゲティングとは、セグメンテーションにより、いくつかに分類されたセグメントから、自社に最もふさわしいセグメントを選ぶことです。

 

②なぜ、ターゲティングが必要かというと、ターゲットを絞ることで訴求も絞ることができるため、消費者に響くメッセージが発しやすくなるからです。

 

➂ターゲティングによって選択したセグメントが標的市場(ターゲット)であり、自社の資源を投入する対象になります。

 

④標的市場の中で自社の商品・サービスを購入する必然性の高い消費者グループのことを主要ターゲットと呼び、持っている資源をさらに集中投下する対象になります。

 

セグメント・ワンとは、主要ターゲットをさらに絞り込み、具体的な一人の消費者にまで落とし込んだものを言います。


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