マーケティングという言葉がよく使用されていますが、皆さんは「マーケティングとは?」どのようなものとして捉えているでしょうか?
結構、広告やPOPなどの「販売促進」とか、人によって捉え方がバラバラだと思います。
例えば、ドラッカーは『マーケティングとは顧客というものをよく知って理解し、製品が「顧客」にぴったりと合って、ひとりでに「売れてしまう」ようにすること』
―――と説明しており、
コトラーは『マーケティングを最も短い言葉で定義すれば「ニーズに応えて利益を上げる」こと。』
―――と説明しています。
また、日本マーケティング協会の定義では『マーケティングとは、企業および他の組織がグローバルな視野に立ち、顧客との相互理解を得ながら、公正な競争を通じて行う市場創造のための総合的活動である。』となっています。
このようにマーケティングは、前述の3定義が全て「顧客」がキーワードになっているのを見てもわかるように、「売るしくみ」ではなく、「売れるしくみ」と呼ばれているのです。
「売るしくみ」はセリング(Selling)のことで、値引を戦略の根拠・一貫性なく行うなど「なんとかして売ろう!」という「企業都合」の活動です。
これに対し、マーケティング(marketing)は顧客視点に立って「どうやったらお客様に買っていただけるだろう」ということを論理的に考えていく活動であり、根本的に「売るしくみ(セリング)」とは異なってきます。
起業して失敗しないようにするには、マーケティングによる「顧客視点」が重要になるのです。
言葉であらわせば「売る」から「売れる」の少しの差ですが、実際にはマーケティングがうまくいっている企業は「ほんの一握り」というのが実態です。
それはマーケティングの効果はすぐに出るものではなく、じっくりと腰を据えて取り組む必要があるのですが、企業は「毎月の単月実績」を求められるため、どうしても「セリング思考」になってしまうためです。
このため、当初は目前の業績向上を狙う今まで通りのセリング(効果が出ても短期的)を実施しながら「売れるしくみづくり」を行う必要もあるでしょう。
また、現場ではこの「売れるしくみ」について「あーだ」「こーだ」と考え込むだけで時間を消費するのではなく、全社的な活動として「実際に行ってみる」ことが大切です。
企業も個人事業者も事業で成功するには共通点があり、
①決めたことを「やりきる」という熱意を持つ
②「基本」を大切にする
➂複雑に考えず、「シンプル」に考える
④実際に「行動」する
⑤失敗を恐れず、改善を繰り返す
―――ということだといえます。
こういった「一言であらわせるもの」は継続の難しさがありますが、事業(人生も同じだと思いますが)で成功するには必要なものです。
これから説明するマーケティングにも「基本」があります。
ここではマーケティングの基本をできるかぎり「簡潔に」「わかりやすく」記載したいと思います。
マーケティングにも「基本的な手順」があり、基本プロセスと呼ばれており、図1はその「基本プロセス」を図示したものです。
この手順は一般的に次の「5つ」で示されます。
1.環境分析
2.市場選定
3.戦略最適化
4.実施
5.管理
図1:マーケティングの基本プロセス
基本プロセスを使いやすいように3つのステップに簡略化すれば、次のようになります。
1.自社の強みを客観的に分析する
2.営業のターゲットを決める
3.最適な販売促進をする
この3つを丁寧に、そして科学的に行なうことではじめて「売れるしくみ」が完成します。
この手順をあらわしたのが図2です。
図2:マーケティングの3ステップ
この図2の「マーケティングの3ステップ」は一番重要なため、しっかりと覚えてください。
・「何を売ればいいのか?」
・「誰に買ってもらうのか?」
・「どうやって買ってもらうのか?」
―――を論理的に検討し、結果的に「商品を買ってください」というのではなく、「御社からその商品を購入したい」とお客様に言っていただけるようにすること、これがマーケティングになります。