STPフレームはセグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングのそれぞれの頭文字を取ったもので、コトラーが提唱したターゲット(標的)を決めるステップです。
このSTPフレームのステップは図1のようになります。
図1:STPフレーム
図2はターゲットの違いを図示したものです。
まず、の①のマスマーケティングは従来のマーケティングで、高度成長期の殆どはこのマーケティングでした。
また、現在でも大手企業が販売する「コモディティ商品」などは大量生産・大量販売・マスメディアを利用した宣伝活動が行われることが多く、マスマーケティングに該当します。
ただ、マスマーケティングでは消費者意識の向上・ニーズの多様化には対応できません。
そのため、市場細分化(セグメンテーション)を行い、「市場の誰に買っていただきたいのか?」を決めてマーケティング・プロセスを進めていくことが必要になっています。
②のセグメントマーケティングとは、「あるくくり」に対して働き掛けることです。
③のニッチマーケティングでは「大手企業や競合他社が取り込んでいないターゲット」を狙います。
そして、④のカスタマイズドマーケティングは「セグメント・ワン」と言われる「一人の顧客」に働きかけることです。
まさに「1対1」のマーケティングです。
図2:ターゲットの違い
それでは「セグメンテーション」から見ていきましょう。
まず、「あるくくり」にわける基準として、
①地理的変数
②人口統計的変数
➂サイコグラフィック変数
④行動変数
―――があり、各項目の代表的な内容は次のようになります。
①地理的変数
→気候、行政単位、人口密度、慣習などの大きなものから、戸建エリア、集合マンションエリア、距離、時間的距離、競合状況などの小さなものまであります。
②人口統計的変数
→性別、年齢、学歴、職業、家族構成など
➂サイコグラフィック変数
→【ライフスタイル】旅行、外食、読書、ガーデニング、スポーツ、ペット、環境意識など
→【パーソナリティー】社交家、勤勉家、芸術家、理論家、情熱家、保守的、革新的など
④行動変数
→ベネフィット・・・顧客はどのような便益を感じるのか?
→使用頻度・・・ヘビーユーザーかライトユーザーか?
→ロイヤルティ・・・何に対してロイヤルティが高いか?
→使用機会・・・いつ使うのか?
―――というように、行動変数は「商品の使い方」でのグループ化になります。
セグメンテーションでは、この4つの変数を外さず、「くくりわけ」を行いましょう。
ターゲティングとは、企業あるいは事業ごとに投入する「経営資源を有効に活用」するため、「どのセグメントをターゲットにするか?」、標的市場を決定するプロセスのことです。
●購買可能性があること
●競争上有利であること
●効率的であること
●シナジー効果が認められること
●アフターサービスに支障がないこと
―――などが求められます。
図3:経営資源とターゲット
図3は経営資源とターゲットを示したものです。
Ⅰはマスマーケティングで、全ての人が対象の大量生産・大量販売型です。
それに対し、ⅡはセグメントをターゲットをセグメントBに絞った取り組みになります。
そして、Ⅲが経営資源を振り分けて、それぞれのセグメントをターゲットとしているものです。
ここでいう経営資源は競合にない独創性が必要です。
競合に負けている経営資源ではターゲットをいくら絞り込んだところで自社を選択される可能性は著しく低くなります。
―――ということは、競合によってぶつけていく独創性のある経営資源は変わるため、標的市場にいる競合他社との相対比較による考え方が必要になってくるということです。
これをスルーしてしまうと、次のポジショニングがうまくいかなくなります。
STPフレームの最後はポジショニングです。
ポジショニングとは、標的市場の見込み客のマインドにブランドイメージを確立するプロセスであり、セグメンテーションやターゲティングと違い、顧客の頭の中での勝負になります。
簡単に言えば、ポジショニングとは「ターゲットからどう思われたいか?」というイメージを決めることで、言い換えれば「ブランディング」になります。
ポジショニングのポイントとして、
●顧客に評価されるベネフィットを訴求する
●競合するブランドと比較してわかりやすい
●いったん決めたら全社で徹底的に取り組む
●本来は商品を決定する前に決める
●商品に対してではなく、顧客の心に対して行う
―――ことが必要であり、ターゲットとしたお客様から「どんなふうに思われたいのか?」を決めることです。
これは、例えば「シニア男性」にターゲットを決めたら、女性にどう思われようと関係ないということです。